研究課題/領域番号 |
24740085
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
澤野 嘉宏 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (40532635)
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キーワード | 変動指数ルベーグ空間 / Morrey空間 / 逆写像 / バナッハ関数空間 / Besov空間 / Triebel-Lizorkin空間 |
研究概要 |
Morrey空間の種々の作用素の有界性への応用を含むMorrey空間のアトム分解に関しての結果を得て、特にそれを双線形評価へと応用した。このMorrey空間のアトム分解は、種々の関連する空間に対しても考案され、証明を与えた。投稿するための原稿を準備している最中である。長年、未解決問題であったMorrey空間の前双対の性質を示した。具体的には次の性質である。単調増大列で、ノルム有界なものが与えられるとその極限関数もやはりMorrey空間の前双対の関数になる。この定理により、実に多くの作用素の有界性の証明が簡略化される。さらに、バナッハ関数空間の正値作用素の列が収束する必要十分条件を与えた。また、バナッハ関数空間においてサンプリング定理が成り立つための必要十分条件を平行移動作用素の言葉で記述した。 逆写像の公式を拙著の「ベクトル解析」の本に初等的な証明を与え、出版の準備を整えた。この書籍は2014年5月15日に発行予定である。 変動指数ルベーグ空間は1951年の中野氏が最初であるが、空間の構造が複雑であるために1991年ごろまであまり研究されていなかった。1991年に変動指数ソボレフ空間が定義されて、さらにその13年後2004年にハーディー・リトルウッドの極大作用素が有界となる非自明な条件が提唱された。1991年の結果は専門家の間ではよく知られているが、1951年の中野氏の結果は日本の出版社の書籍として公表されているために、世界的には詳しく知られていない。また、2009年ごろから日本の多くの研究者により変動指数ルベーグ空間とその周辺の空間の性質が詳論された。この事情を150ページほどのサーベイとしてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
逆写像の公式に関しては十全な理解を得ることができ、簡明な証明を与えることができた。 アトム分解に関しては、分解ができることがわかっているが個別の関数空間ごとに手法を若干変えなくてはいけないために本質がわかっていない箇所が残っている。
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今後の研究の推進方策 |
関数の分解が何かという問題に特化して考えることにする。
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