研究課題/領域番号 |
24740088
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
冨田 直人 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10437337)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 多重線形作用素 / 擬微分作用素 / フーリエマルチプライヤー |
研究概要 |
調和解析 (実解析) の分野では,2000年頃から線形の理論を多重線形の理論へと拡張する研究がメインテーマの一つとなっている.調和解析における線形から多重線形への理論の拡張は,単なる一般化などではなく,調和解析の問題として眺めても非常にチャレンジングであるし,また応用面から眺めても偏微分方程式論の発展の可能性を大いに秘めている.本研究では多重線形調和解析における有界性定理の精密化を目標とし,また最新の多重線形理論の偏微分方程式への応用を探りたい. これまでの多重線形理論は,マルチプライヤーや積分核に対する十分な滑らかさの仮定の下に構築されたきたが,この申請課題で扱う内容はその滑らかさの仮定を限りなく弱めることを目標としている.具体的には,多重線形フーリエマルチプライヤー作用素や多重線形擬微分作用素の有界性を保証するためのシンボルに対する最小の滑らかさの条件を決定することである. 平成24年度は,東京女子大学の宮地晶彦教授との共同研究において,S_{0,0}型の双線形擬微分作用素の有界性を保証するための,擬微分作用素のオーダーを完全に決定することに成功した.これまでの研究では,ある意味で十分条件しか扱われていなかったため,考えている擬微分作用素のオーダーが適切かどうかは全く分からなかった.これに対し,我々は有界性を保証するための擬微分作用素のオーダーに関して必要十分条件を与えることにより,得られた有界性定理の適切性を示している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
双線形フーリエマルチプライヤー作用素に対しては,有界性を保証するためにマルチプライヤーに課すべき最小の滑らかさの条件をソボレフ空間の枠組みで見つけることに成功した. また双線形擬微分作用素に対しては,擬微分作用素のオーダーに関して,有界性を保証する最小の条件を見つけることが出来た.
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今後の研究の推進方策 |
マルチプライヤーの滑らかさを測る際に,ソボレフ空間だけを用いたこれまでの枠組みとは異なる新しい滑らかさの測り方があることを発見した.この新しい枠組みを用いることにより,これまでとは異なる多重線形作用素の有界性についての結果を見つけて行くことが目標である.
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次年度の研究費の使用計画 |
情報収集および成果発表のため,積極的に国内・国外で行われる研究集会に参加する予定である.また,研究打ち合わせのため,東京女子大学の宮地晶彦教授を何度か訪問する予定である.これらに対し,研究費を有効に活用させていただく.
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