ケーラー多様体上の閉曲線流がみたすある4階分散型偏微分方程式に対する初期値問題を主に考察した。多様体が実2次元球面の場合、この方程式は渦糸運動やハイゼンベルグ古典スピン系の連続極限のモデルとして現れる。本研究では、多様体に対する設定と方程式の構造との関係を調べ、解の存在や一意性の証明に応用した。主結果は、多様体が(2次元球面を含む)定曲率閉リーマン面である場合における滑らかな時間局所解の存在と一意性である。実際、方程式の可解性に関する良い構造を発見し、適当なゲージ変換と幾何学的エネルギー法を組み合わせて可微分性の損失を解消することにより証明した。
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