研究課題/領域番号 |
24740092
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
小林 政晴 山形大学, 理学部, 准教授 (30516480)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | モジュレーション空間 / ウィナーアマルガム空間 / シュレディンガー方程式 / 関数空間 |
研究概要 |
モジュレーション空間は近年多くの研究者に注目されている関数空間の一つである. 偏微分方程式への応用に関しては, まだ日が浅く未解決な問題が多いが, 更なる進展が期待できる関数空間といえる. 本年度はモジュレーション空間に関して, 加藤圭一氏(東京理科大学)および伊藤真吾氏(東京理科大学)と共同研究を行い, 主要な結果として以下の2つを得た: (1) 短時間フーリエ変換(波束変換)を用いて, 自由粒子のシュレディンガー方程式の解の新たな表示を得た. この解の表示を用いることで, B\'enyi-Gr\"ochenig-Okoudjou-Rogers(2007)や Wang-Hudzik(2007)によりこれまで得られていたシュレディンガー作用素のモジュレーション空間評価よりも精密な評価を得ることが出来た. この評価はB\'enyi-Okoudjou(2009)で扱われているタイプの非線形シュレディンガー方程式の初期値問題に対する時間局所解の一意存在定理にも応用可能であることも分かった. (2) (1)で得られた方法を用いて短時間フーリエ変換を用いた調和振動子のシュレディンガー方程式の新たな解の表示を得た. この解の表示により, Cordero-Nicola (2008) によってこれまで得られていた調和振動子のシュレディンガー作用素のウィナーアマルガム空間評価よりも精密なウイナーアマルガム空間型の評価式を得ることが出来た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上で述べた加藤圭一氏, 伊藤真吾氏との共同研究によって, これまでの多くの研究で用いられていたような高度な実解析的な手法なしでシュレディンガー作用素に対する新たな評価式を得ることが出来たことに対して, とても満足している. この結果はモジュレーション空間の専門家が参加したフィンランド共和国で行われた国際研究集会において多くの研究者にインパクトを与えることが出来たと思う. 査読付き論文を3編出版した.
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今後の研究の推進方策 |
今回得られた方法を用いることで, これまで扱うことが困難であった劣2次のポテンシャルを持つシュレディンガー方程式の解のモジュレーション空間評価式が新たに得られることが予想される. それには, 偏微分方程式や調和解析で用いられている方法が有効であると予想される. これら方法を取り入れながら, 問題に取り組む予定である. また, 今年度の研究は主にシュレディンガー方程式を扱ったが, 他の方程式に対しても我々の方法が適応可能であるか十分検討する必要がある. そのために, 国内, 国外で行われる研究集会などに積極的に参加し, 我々の方法が応用可能な方程式や我々の方法を更に発展させる情報を収集する必要がある.
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次年度の研究費の使用計画 |
劣2次のポテンシャルを持つシュレディンガー方程式の解のモジュレーション空間評価式を得るために, 新たな資料を収集する(調和解析, 偏微分方程式に関する書籍をそれぞれ10万円購入する). 加藤圭一氏, 伊藤真吾氏と共同研究も行う(旅費10万円). また, 今回得られた方法を更に発展させるために, 名古屋大学の杉本充教授と共同研究を行う(旅費10万円). より研究を充実させるため, 調和解析駒場セミナーに参加する(旅費10万円).
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