研究実績の概要 |
ウィーナーアマルガム空間はモジュレーション空間と共に1980年頃オーストリアのファイヒティンガー氏により導入されたユークリッド空間上の関数空間の一つである.これらの関数空間はフーリエ変換の代わりに窓フーリエ変換を用いて定義されるため,考える問題によってはよく知られているルベーグ空間やソボレフ空間よりも関数の滑らかさや減少度を精密に測るのに適していると考えられる.近年,モジュレーション空間を用いた非線形発展方程式の研究が盛んに行われており,多くの研究者に注目されている. これまでモジュレーション空間とウィーナーアマルガム空間の基本性質に関して様々なことが研究されてきたが,まだ未解決な問題も多くある.例えば,「モジュレーション空間とソボレフ空間の包含関係」については小林-杉本(2011)で十分研究が行われているが,「ウィーナーアマルガム空間とソボレフ空間の包含関係」に関しては基本的で極めて重要な問題であるにも関わらず, これまで未解決であった. 本年度はクナナンジェイソン氏(名古屋大学),杉本充氏(名古屋大学)とこの問題に取り組み大きな成果を挙げることが出来た.得られた結果を用いれば「ユニモジュラーフーリエ乗子作用素がソボレフ空間からウィーナーアマルガム空間への作用素としてどのように振る舞うか」,「リトルウッド-ペーリー型不等式に解明」,「ベソフ空間とウィーナーアマルガム空間の包含関係の解明」に応用可能なことが分かった.
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