研究課題/領域番号 |
24740104
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山川 大亮 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (20595847)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 分岐不確定特異点 / 有理型接続のモジュライ空間 / Fourier-Laplace変換 / 中島箙多様体 / 国際情報交換 / フランス |
研究概要 |
(1) 分岐不確定特異点を持つ射影直線上の有理型接続の枠付きモジュライ空間を,有限次元シンプレクティック商として記述した.記述に用いた手法から,この結果によってモジュライ空間の構造とソリトン方程式の構造との関連がより見通し良く理解されるようになった.この結果についてはいくつかの研究集会で成果報告を行った.なお,フランスにて研究協力者の一人であるPhilip Boalch氏(パリ高等師範学校)と情報交換を行った際,彼も部分的にではあるが同種の結果を得ていた事が分かった.そのためこの結果については論文を彼との共著で出す事になり,現在結果の応用について共同研究を行なっている. (2) 有理型接続のFourier-Laplace変換が持つと期待されている性質として,接続のモノドロミー保存性を保つというものがある.Woodhouseはこれを特別な条件下で示していたが,研究代表者はその仮定を大幅に緩める事に成功した.この結果については研究集会で既に報告し,論文は現在執筆中である. (3) 研究協力者である廣惠一希氏(京都大学数理解析研究所)と共同研究を行い,一点で不分岐不確定特異点,他にいくつかの確定特異点を持つ射影直線上の有理型接続のモジュライ空間が,中島箙多様体とシンプレクティック同型である事を証明した.同型性を廣惠氏が示し,研究代表者はシンプレクティック性の証明と,全般の議論の簡素化を行った.この結果は研究目標の一つである一般モノドロミー保存変形と相性の良い正準座標の構成に役立つ事が期待される.論文は現在執筆中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度の目標としていた研究は「研究実績の概要」欄(1)で完遂し,同欄(2), (3)と更なる成果を挙げる事ができた.
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今後の研究の推進方策 |
まず概要欄(2), (3)で述べた執筆中の論文を可能な限り早く発表し,その後「研究実績の概要」欄(1)で述べたBoalch氏との共同研究を進めていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
デスクトップパソコン及び数式処理ソフトウェアを購入し,また幾何学・表現論・可積分系・数理物理関係の書籍を適宜補充して,研究室の研究環境を整える.研究成果発表のため国内・海外出張も行う.未使用額も次年度の計画のために使用する.
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