研究概要 |
今年度は特に高赤方偏移銀河についての研究を中心に行った. 銀河形成シミュレーションから得られたデータを擬似観測することにより, 赤方偏移が 7 よりも大きい超高赤方偏移のライマンブレーク銀河の性質を明らかにした. これらの銀河に対しては, 1 から 2 バンドでしか観測されていないため, 従来の SED fitting を用いて観測的に銀河の性質を制限する方法が使えないため, 宇宙論的シミュレーションを用いたこの手法は非常に重要である. また, どうように擬似観測を行うことにより, ALMA 望遠鏡で赤方偏移が 10 近い銀河の赤方偏移を分光学的に求める方法を検討し, OIII 輝線を用いることにより, 分光学的に再遠方天体の赤方偏移を確定できる可能性があることを明らかにした. また超新星爆発によるフィードバックだけでは銀河の進化を説明できないことを明らかにし, 最低限, 活動銀河核(特に RIAF) からのエネルギー放出により大きなダークマターハロー内でのガス冷却を相殺することと, 若い星からの輻射圧による銀河風の生成が銀河の赤方偏移進化を説明する上で必要であることを指摘した. これらの物理過程を取り入れることにより, 赤方偏移 4 から 0 まで, 矮小銀河から巨大楕円銀河までの進化を観測と無矛盾に説明することに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に成果も出ており, 個々の物理過程の銀河形成における役割も明らかになりつつある. この成果は 3 本の査読論文として投稿し, 2 本は出版済み, 1 本は審査中である. しかし 2013 年度は北海道大学の助教に異動したことにより, 特に教育のために時間をとられて輻射輸送コードの改良にやや遅れが見られる.
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