研究課題
銀河系バルジ方向の未同定X線源3天体に対し、X線天文衛星Suzaku及びXMM-Newtonで得られたX線撮像分光観測のデータを解析した。XMM-Newton衛星で観測された天体からのX線放射は、2温度(kT = 0.5, 1.7keV)の光学的に薄い電離平衡プラズマモデルでよく再現された。近傍の可視光天体との位置の比較や、X線スペクトルの特徴からG型巨星であると推定される。一方Suzaku衛星で観測された天体1RXS J173905.2-392615は非常に暗く、温度0.7keVの電離平衡プラズマからのX線放射と考えられる。可視光対応天体候補は、AあるいはF型星であることが示唆された。通常A/F型星はX線で暗いため、A型星自身ではなくその伴星がフレアを起こしたと推測される。本成果を論文として投稿し、現在レフェリーコメントに従い改訂中である。またSuzaku衛星により2013年に観測された1RXS J170047.8-314442からは、広がったX線放射が観測された。X線スペクトルには6keV付近に輝線が見えており、高階電離鉄イオンからのKα輝線と仮定すれば赤方偏移z=0.14が示唆される。電離平衡プラズマの温度も6.2keVと見積もられた。従って本天体は銀河団と考えられる。強い星間吸収で光学同定することの困難な銀河面領域での銀河団候補を確証づけた本成果を、現在論文にまとめている。また別途、Suzaku衛星及びChandra衛星を使い延べ10天体のX線撮像分光観測を行った。これまでに計31天体に対して2keV以上のX線撮像分光観測を行って来ており、バルジ方向の未同定X線源をほぼ完全に網羅した。X線フラックスにして10 -13 ergs/s/cm2の下限値を持つサンプルとしては世界初のものであり、今後バルジX線源の統計的議論を進める上で貴重な基礎データとなる。
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Proceedings of the SPIE
巻: 9144 ページ: pp.1-10
10.1117/12.2055656
Suzaku-MAXI 2014: Expanding the Frontiers of the X-ray Universe, proceedings of a conference held 19-22 February, 2014 at Ehime University, Japan. Edited by M. Ishida, R. Petre, and K. Mitsuda
巻: 1 ページ: p.182
巻: 1 ページ: p.212