研究課題
昨年度開発した回転磁場発生装置を用いて回転磁場によるβ-NMR法による磁気モーメントの符号決定の実証実験を大阪大学核物理センターで行った。この実験に先んじて、高周波回路の整備、真空チェンバーの製作を行った。核物理センターでの実験ではプローブの原子核として磁気双極子モーメントの絶対値、符号が既知の原子核である20Fを用いた。核スピン偏極した20Fは偏極重陽子ビームをCaF2試料に照射して生成した。この20Fに対し、回転磁場によるβ-NMR法を適用させ、符号測定を行った。大きなNMR信号が得られるよう、回転磁場は速い断熱通過法に則り印加した。右回転、左回転磁場を作用させた場合のNMRに顕著な差が見られ、NMR信号強度の大きかった場合の回転方向と印加している静磁場の方向から得られた20Fの磁気双極子モーメントの符号はプラスであり、文献値と一致した。これにより回転磁場によるβ-NMR法によって磁気双極子モーメントの符号決定が可能であることが示された。続いて磁気双極子モーメントの絶対値のみ既知の原子核29Pに本手法を適用した。現在鋭意解析中ではあるものの、得られた結果からは磁気双極子モーメントの符号はプラスが示唆され、この結果は理論計算と一致する。
すべて 2013
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Hyperfine Interactions
巻: 220 ページ: 65-69
10.1007/s10751-012-0721-5