研究課題/領域番号 |
24740142
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
SCHURY P.H 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 協力研究員 (30462724)
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キーワード | ガスセル / rfカーペット / イオンサーフィング / 原子質量 |
研究概要 |
イオンサーフィン式RFカーペットの輸送試験を2種類の直径10cmのカーペットを製作して行った。タイプIは、0.08mm幅の導線を0.08mm間隔で引いたもので、0.05mm厚のポリイミドをベースにしたプリント基板上にエッチングで製造し、中心には直径0.32mmの引き出し穴がある。タイプIIは、線幅、間隔、引き出し穴ともに倍の大きさのものである。イオンサーフィン式RFカーペットは、この電極に、順に交互に位相が180度異なるイオンバリア用の高周波(8MHz程度)を印加すると同時に、4本周期で位相が90度ずつずれた搬送波の可聴周波数(10 kHz程度)の信号を冗重させ、イオンを引き出し穴へ導く仕組みである。カーペットの上方にカリウム、ルジジウム、セシウムのイオン源を置き、そこから発せられた総イオン数に対する、引き出し穴の下流に設けたファラデーカップに到達したイオン数によって輸送効率を求めた。 タイプIのカーペットでは、ヘリウムバッファガス圧を50-300 mbarまでの広範囲で容易に100%近い効率が得られ、大型ガスセルに適用して高エネルギーRIビームを高効率で低速RIに変換する装置に大変有効であることがわかった。一方、1-5 mbarの低圧下では、10%以下の効率しか得られなかった。数値計算の結果では、低圧下ではむしろ粗い間隔のカーペットが有効であることが示されたので、タイプIIの製作に至ったが、それを用いた測定は平成26年に持ち越された。粗いカーペットは30keVイオンビームの冷却バンチ化のための窓なしガスセル装置に使用する毛一家腕有り、今後の最適化試験に期待したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Fabrication of the test carpet required more time than expected. The first carpet arrived in late March, 2013. However, we are now progressing quickly in testing the carpet. We have also spent time testing the carpet for initially unconsidered task of operation at low pressure.
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今後の研究の推進方策 |
In this year we will test the extraction velocity of the carpet. We will also test the function of the rf-carpet at pressure higher than 300 mbar. TypeII RF carpet (rough structure) will be tested experimentally to confirm performance under 1-5 mbar He buffer gas pressure. Bunching capability using RF carpet itself will be tested.
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次年度の研究費の使用計画 |
広い間隔(0.5mm程度)のカーペット電極を用いれば、2 mbarの低圧下でも高性能が得られることが判明したので、次年度では、新しいカーペット電極を製作して研究を完遂させたい。この新方式では、既存の真空排気装置が使えることも判明しており、繰り越した予算は、新しいカーペット電極の製作および、それを高性能なバンチ化装置として運用するための複数の進行波発生装置の製作に当てる計画である。平成25年度では、その部分の装置惡製作まで完了することができなかったので、繰り越すことにした。 低圧下では、より粗い間隔のRFカーペットが良いことが示されたので、0.32, 0.64 mm間隔のカーペットを試験チャンバーに装着して効率の測定を行う。進行波型のRFカーペットでは、既にイオンはその進行波の周波数の周期でバンチ化されていることが数値計算で判明している。より長い蓄積時間(≈10ms)のバンチを得る為に、カーペットの外側から内側に向かう進行波に加え、逆向きの進行波を加え、その境界にイオンを任意の時間貯めることを提案している。一定時間の蓄積の後、内側に向かう進行波に切り替えることによって大きなバンチとして取り出せる。この機構を試験する装置を製作し、実際のバンチの性能(効率、幅、蓄積イオン数)を確かめる。当初真空排気装置の購入にあてる予定だった繰越資金は、さらに異なる間隔のRFカーペットの試作および、あたらしいバンチ化機構の試験のための電源装置、検出電子回路の製作にあてる。
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