宇宙の暗黒物質の正体と,宇宙初期に合成されたリチウムの量の不足問題を同時に解決する素粒子模型を探求した。研究期間中に発見されたヒッグス粒子の質量125GeVをも模型探索の制限に加えた。探索では素粒子標準模型を拡張した次最小超対称標準模型を仮定した。新奇な超対称粒子が宇宙初期にリチウムと相互作用して一部を壊し,副産物がダークマターとして残存するシナリオを探った。模型の任意パラメータを動かしながら初期宇宙における素粒子・原子核反応をシミュレートし,暗黒物質およびリチウムの残存量を計算した。観測に適合する領域をパラメータ空間内に示し,このシナリオが現象論的に許されることを実証した。
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