研究課題/領域番号 |
24740163
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木内 建太 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定研究員 (40514196)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 重力波 / 数値相対論 / 高エネルギー天体現象 |
研究概要 |
本研究の目的は大質量星重力崩壊におけるブラックホール形成に対する理論的研究を数値的相対論の枠組みで行い、その過程を詳細に解き明かす事である。数値的相対論とは一般相対性理論の基礎方程式であるアインシュタイン方程式、磁気流体力学方程式、ニュートリノ輻射場の式を連立させ数値的に解くことで強重力場中の現象を第一原理的に解き明かすことを目的とした研究分野である。特に本研究では大質量星重力崩壊を研究ターゲットとし、ブラックホール形成過程におけるニュートリノ、磁場の効果を明確にすること目的とする。この為には、大規模コンピューターを用いた数値シミュレーションが必須となる。 本年度は大規模数値計算に向けた数値コードの作成とチューニングを行った。中性子星やブラックホールの典型的サイズはキロメータであるのに対し、重力波の波長は数百キロ程度である。すなわち非常に大きなダイナミカルレンジに渡る問題となるが、この困難を解決する策として解像度の異なる格子を組み合わせる多層格子法が有用とされる。一方、磁気流体計算ではモノポールなし条件と磁気フラックス保存は数値シミュレーション中で保証されるべき条件であるが、上記の入れ子格子法の実装と両条件の成立を同時に保証することは非自明である。そこで本年度はこの問題を解決するコードを作成し、さらに大規模コンピューターの性能を引き出すためにコードのチューニングを行った。 続いて、作成したコードを用いて磁場大質量中性子星の進化を三次元シミュレーションで追跡した。磁場増幅や不安定モードの発生を発見しそのメカニズムについて議論した。この研究は本研究の主題に関する準備研究と位置付けられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画では、初年度には大質量星の重力崩壊を磁場なしの枠組みでまず行う予定であった。しかし、研究を進める過程で磁気流体の効果を取り込むことは本質的に重要である事が判明した為、当初の予定を変更し初年度から磁気流体効果を取り込んだ数値コードの作成を行った。また磁気流体効果を適切に取り入れることは十分な解像度で数値シミュレーションを行うことと直結する為、スーパーコンピューターの性能を十分に引き出すチューニングが必要となる。本年度ではこの2点を重点的に進めたため、当初より計画がやや遅れている。しかし、信頼性の高いコードの構築と十分な性能を引き出すことに成功した為、本年度以降は順調に研究が進展すると予想している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は24年度に作成した磁気流体コードとニュートリノ輸送コードの統合を行う。各々のコードは既に完成している為、その統合にはあまり時間がかからないと予想される。作成したコードを用いて重力崩壊計算をスタートする。結果を基に重力波波形、ニュートリノ光度を定量的に見積もり観測可能性を議論するとともに、ガンマ線バースト中心動力源の可能性について議論する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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