研究課題/領域番号 |
24740164
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
新山 雅之 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90455361)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
この研究では、ハドロン共鳴光生成のための3次元荷電粒子検出器であるタイムプロジェクションチェンバー(TPC)のレーザ較正システムを開発することが目的である。TPC のガス中を荷電粒子が通過した時に生じる電子を電場・磁場中でドリフトさせ、読み出し面での位置と到達時刻から荷電粒子の飛跡を再構成することが TPC の動作原理であるが、磁場と電場に非均一な領域が存在すると飛跡が歪められてしまう。高精度で荷電粒子の飛跡を再構成するためには較正システムが必要である。そのため、今年度は磁場中で直線の飛跡を残す紫外レーザを用いた較正システムの試験を行った。一般的に TPC ではアルゴンを主成分とするガスを用いるが本研究では物質量の少ないネオンガスを用いるため、このガスを用いてレーザ光の飛跡検出の試験を行い、十分な信号が得られる事を確認した。次に、レーザ光をTPCの有感領域全体に分配するために光ファイバーを用いた光伝搬の基礎特性を調べた。光ファイバーを用いる方法とミラーを用いる方法とを比較し、ミラーを用いる方法で十分に分配できることを確認した。 さらに、TPC の荷電粒子検出とレーザ較正システムを有効に動作させるために必要な低ノイズ・アンプチップを ASIC 技術を用いて開発した。試作チップの性能試験からノイズレベル 2000e (ENC) 、1.6%以下の線形性、7mW/ch の消費電力などの十分な性能が得られている事を確認した。これは、ハドロン光生成の測定精度を決定する非常に重要な開発事項である。次年度以降、順調に開発を進めていける事が確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度では本研究の目的であるレーザ較正について必要な基礎性能を評価する事が出来た。また、最も困難な点である測定に必要なアンプチップの開発も完了した。今後は大きな問題点なくチップの大量生産などを行う予定である。おおむね順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
当該年度に開発したアンプチップを大量生産し、レーザ制御系などの較正システムを開発する。アンプチップの性能は確認できているので大量生産は随時行っていく。また、レーザ制御は現存するものを改良していくので大きな問題なく研究を推進できる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
アンプチップの大量生産を行う。また、レーザ制御システムのための計算機等を購入する。さらに当研究の成果について国際会議等で報告する。
|