有限密度・温度におけるQCDやユニタリティ近傍における冷却原子多体系などの強く相関する系の輸送現象を非摂動的に定式化する方法の開発を行った。低エネルギー及び長波長極限の非平衡状態を特徴づける輸送係数を評価するために、微視的な自由度から出発するより一般的な方法として汎関数繰り込み群の方法を適用した。また、相補的な手法として対称性を基にした有効理論を用いて、カイラル凝縮やボーズ凝縮の相転移近傍における輸送係数の評価を試みた。主に自発的対称性の破れを示す相で有効な定式化を行ったが、有効な低エネルギー自由度が繰り込み群において自動的に生成されることを確かめるに至らず、いくつかの課題が残った。
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