研究課題
本研究は、すざく衛星を用いた Vela パルサー星雲のX線観測が軸となる。Vela パルサー星雲は、我々の最も近傍に位置するパルサー星雲であり、宇宙線電子陽電子源の有力候補の一つである。このパルサー星雲からの非熱的X線放射の拡がりと異方性を明らかにすることが本研究の目的の一つである。Vela 自体は直径8度角もある一方で、すざく衛星搭載のX線CCDカメラの視野は0.3度平方なので、必然的に複数回の観測が必要になる。そのため、パルサーから特定の方向に絞って、視野をずらしながら観測領域を延長していく戦略をとってきた。昨年度までに北部、東部、西部の観測をおこない、いずれの観測からも非熱的放射を検出した。また、これらの方向には等方的にパルサー風が拡がっていることがわかった。今年度はさらに南部の観測と GeV 放射が強い領域の追観測をおこなった。いずれの領域からも他の方角と異なる兆候は得られなかった。つまり、Vela パルサーからは度の尺度ではほぼ等方的にパルサー風が拡がっていることがわかった。加えて GeV 放射とX線放射には直接的な相関がないこともわかった。別のパルサー星雲・超新星残骸についても観測を進めた。パルサー星雲をその内部に持つ超新星残骸 G292.0+1.8 については、チャンドラ衛星とすざく衛星による観測をおこなった。前者からは逆行衝撃波がパルサー星雲の極近傍に迫っていること、後者からは初めて Fe K 輝線を検出した。
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