研究課題/領域番号 |
24740168
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
前田 幸重 宮崎大学, 工学部, 助教 (50452743)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 三体力 / 中性子 / 国際情報交換 / ポーランド |
研究概要 |
原子核研究の基本となる核力には二核子間力以外に三体力と呼ばれる多体相互作用が存在する。核力の三体力のうち、今まではほとんどの実験的研究ではその対象が三体力のアイソスピンT=1/2成分に限定されてきたが、原子核の性質及びその現象や中性子星の存在を記述する上で、アイソスピンT = 3/2 成分の効果を取り入れる事が必要不可欠であることが理論的にわかってきた。本研究の目的は、近年完成した理化学研究所RIBFにおいて得られるようになった不安定核ビームである大強度トリトン(3H)ビームを用いる事で中性子3個(3n)の共鳴状態を生成し、T = 3/2三体力に関する詳細情報を実験的に明らかにする事である。本研究の結果からは全く新しい三体力の側面が明らかにされると期待できる。 本年度はまず、理化学研究所RIBF施設で実験を行うためのビームタイム申請を目指し、トリトンビーム生成、検出器に関する検討、重陽子標的の開発を行った。宮崎大学の学生及び東工大の共同研究者と共に、3個の高速中性子を中性子検出器NEBULAで同時計測するためのシミュレーションをGEANT4プログラムを用いて行った。また重陽子標的である重陽子化ポリエチレン(CD2)標的の製作を宮崎大学の学生と共に行った。また、ワークショップや国際会議に参加し、国内外の理論研究者と三中性子共鳴状態に関する最新の理論予想に関する情報交換を行い、実験方法に関する議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は平成24年度秋に理化学研究所RIBF施設へビームタイム申請を行う計画だったが、施設の都合でビームタイム申請受け付けが行われなかった。よって平成25年度夏にビームタイム申請を行い、具体的な実験実施スケジュールを組み直す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度はまず理化学研究所RIBF施設へビームタイム申請を行う。そして京都大学の松田氏と共に、固体重水素標的の開発を行う。また、大阪大学の三木氏と共に、トリトンビーム用のビームライン検出器の改良を行う。さらに、宮崎大学の院生と共に中性子検出器NEBULAによる多中性子測定に関する検討を行う。 以上の開発・検討を経て、平成26年度春に本実験を遂行する。結果は直ちに解析し、理論研究者との議論を経て国際会議で発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度はビームタイム申請を行う事が出来なかったため、予定していた実験装置の開発の中で実施できなかった物があったが、それらは平成25年度に行う。具体的には、京都大学で開発された固体水素標的システムを改良する事による固体重水素標的の開発、及びトリトンビーム用のビームライン検出器の改良・製作を行う。
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