研究課題/領域番号 |
24740173
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中森 健之 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (30531876)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 放射線 / 半導体光センサ |
研究概要 |
0.5mm角に切り出したGAGGシンチレータアレイと3mm角モノリシックMPPCアレイを組み合わせてガンマ線センサとし、電荷分割読み出しによって、ガンマ線入射位置シンチレータブロックの単位で識別できることを確認した。 タングステン樹脂シートに直径1mmの穴を開け上記ガンマ線センサの前方に設置し、簡易的にピンホール型ガンマ線カメラの原理実証を行った。57Co-122keV線源の位置を動かした際に、ガンマ線結像位置も付随して移動することを確認した。角度分解能はFWHMで2度程度であった。 3mm角柱状GAGGシンチレータに137Cs-662keVガンマ線を照射し、3mm角単素子型MPPCで読み出した。高速波形記録チップDRS4の評価ボードを用いて1GHzのサンプリングレートで出力波形を記録した。波形からエネルギースペクトルを取り出すためのアルゴリズムを検証した。波形ピークを検出し、波高に応じて積分時間を可変にすることにより、低エネルギー側のS/N比が向上した。また波高データにデジタルフィルタ演算を施すことによっても同様の効果が得られた。これらの波形解析法によりバリウムの32keV特性X線を検出することが可能であることが実証できた。 DRS4チップを搭載したVMEモジュールによるデータ収集システムを立ちあげ、上記ガンマ線センサの電荷分割読み出しを波形記録した。662keVガンマ線を照射し、スペクトルの再構成ができることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ガンマ線センサ部の解像度評価、ピンホールカメラとしての動作原理実証、波形記録による読み出し系の開発と波形データ解析がほぼ計画通り達成できている。挑戦的な目標として設定していた、波形のテンプレートを作成することによるモデリング解析は現在進行中である。したがって、研究達成度はおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
MPPCに動作電圧を与えるための小型高圧モジュールを導入して可搬性のある装置にする。このモジュールは温度センサの出力に応じて印加する電圧を自律的に変えることができるため、温度環境が一定でない屋外用途でMPPCの増倍率を安定させるために最適である。 ピンホールを形成する遮蔽体をシンチレータとすることにより、遮蔽体で散乱して主検出部に入射する成分の低減する可能性を検証する。またウェブカメラで撮影した可視画像をガンマ線画像と重ねあわせて表示するソフトウェアの開発を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
所属機関の変更に伴い不足の生じた回路部品の補充を行う。特に、広帯域のトランスインピーダンスアンプと高圧モジュール回路を実装するための回路部品を購入する。回路構成が決まり次第、PCB基板として試作する。また成果発表のための旅費に充てる
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