研究課題/領域番号 |
24740189
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
上野 一樹 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 博士研究員 (20587464)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 粒子測定技術 |
研究概要 |
本研究は真空中に単一電子を取り出し、その電子をイメージングするための基礎的な技術を開発するというものである。紫外(UV)光を仕事関数の小さいUV光標的に照射することで、光電効果によって単一低速電子を放出させ、その電子を二次元検出器(MCP)によってイメージングする。時間構造および波長域の小さいUV光源およびUV照射標的をうまく選定し、さらにエネルギー情報も捉えることで単一電子イメージングを可能なものとするという計画である。UV光源としてXeフラッシュランプ、UV照射標的として銅ワイヤーを用いた簡単な試験は行っており、単一電子検出を示唆する結果は得られている。 今年度は、データ収集システムの改良、UV光源・照射標的の選定を進め、単一電子イメージングの実証を行うという計画で研究を進めていた。まずは更なる既存システムの理解に向けた追試験を行い、MCPのゲイン、電子をMCPまでガイドする電場等に対する系統的な調査を行った。さらに波形を取得するために新たなオシロスコープを購入し、それをフラッシュADCとして使えるようにセットアップした。それらの結果に基づき、単一電子らしきイベントを取得するところにまで至った。しかし、MCP自身に問題が起こってしまい、来年度予定していたMCP開発を先に行った。MCP読み出しシステムの改良を行い、より複数ヒットイベントの分離、すなわち単一電子のよりきれいな検出のためにマルチパッド読み出しを採用した。一方で、システムのコンパクト化に向け、UVLEDを購入し、その試験の準備も進めた。また、新たなUV標的の調査も進め、LaB6など複数の候補までしぼりこんだ。 完全な実証までは進められなったが、新たなMCPシステムの構築の準備、標的候補の絞り込み、UV光源選定まで進めることができた。新たなMCPシステムの構築が終了次第、系統的なスタディが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度途中で検出器(MCP)に問題が起こってしまったために当初の予定通りの進捗には至らなかった。しかし、検出器が使用できない間に来年度行う予定だった研究項目を進めることができた。特に、MCPの開発に関しては、当初は予備用としての役割であり既存と同様のものを購入予定であったが、より本研究に特化した読み出しシステムの改良を加えることができた。さらに、本研究の応用まで踏まえると、全システムのコンパクト化も非常に重要な点であるが、それを達成させるために使用可能であると考えられるUVLEDの選定および準備も進めることができた。このUVLEDはXeフラッシュランプと異なり非常にモノラルな波長領域を持ち、時間構造も回路構成により比較的自由に構成可能であるため、来年度行う予定である系統的なスタディも行いやすくなった。そのため、来年度効率的に研究を進めるための準備を進めることができた。 以上のように、想定外の問題が起こってしまったがその対処を行い、そしてすぐに方向転換を行うことで研究計画全体としては十分研究を進めることができたと考えられる。それ故、おおむね順調と言えると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の進捗状況を基に、新たなMCPシステムの構築・試験を進め、単一低速電子イメージングの実証を行う。各種UV光源、照射標的を用いた系統的なスタディを進め、定量評価をする。その結果を論文や学会にて発表する予定である。その後、可能であれば更なる改良を加え、コンパクト化まで進める。 新たなMCPシステムに関して、改良を加えたことで信号読み出しチャンネルが増えたため回路部の改良が必要である。現在その開発を進めており、まずは少チャンネル版を製作し、試験を行った後、不具合がなければコピー品を加えることで全チャンネル読み出しまで拡張する。この新たなシステムおよびUV光、UV照射標的を用いて単一低速電子イメージングの実証まで進める。データ収集システムに関しても、はじめは少チャンネルの既存のものを使って試験を行い、その後全チャンネルシステムまで構築する。このシステムを用いて、様々なUV光源、照射標的に対して同様の試験を行い、さらに各種パラメタ(MCPゲイン、電子ガイド電場等)についても系統的なスタディを進める。電場シミュレーション等も行い、実験結果と比較、定量評価を行う。そして、これらの結果をまとめ、発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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