研究課題/領域番号 |
24740191
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
清水 雄輝 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 有人宇宙ミッション本部, 宇宙航空プロジェクト研究員 (60434320)
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キーワード | 高エネルギー宇宙線 / 電子 / ガンマ線 |
研究概要 |
本研究では、2014年度からの実験開始予定の、国際宇宙ステーション日本実験棟に搭載に向けて開発が進められている高エネルギー宇宙線観測装置CALETによる一次電子・陽電子観測を目的としている。本年度は前年度に引き続き、CALETの主観測装置であるカロリメータの較正方法の研究および検出器特性データの評価を実施した。カロリメータを構成する検出器のうち、エネルギー決定および粒子識別において重要な全吸収カロリメータについての研究を中心に行った。 前年度の評価結果に基づき、全吸収カロリメータに搭載されるタングステン酸鉛(PWO)シンチレータの較正方法として、可視光成分が少なく光検出器への直接入射が問題とならない窒素パルスレーザーを用いることとした。UVパルス光による検出器較正方法の研究を進め、PWOシンチレータおよびフロントエンド回路の試作モデルを用いて、約6桁のレンジで照射光量を変えながらシンチレータの出力較正が可能であることを確認した。本測定および最少電離粒子の測定を組み合わせることで、要求される6桁のダイナミックレンジのエネルギー較正を行うことができる。開発した方法を用いてフライト実機の較正試験を実施し、PWO全チャンネルの出力直線性およびチャンネル間クロストークを評価するためのデータを取得した。 また、本年度はフロントエンド回路の試験を実施し、機器のノイズ、ダイナミックレンジおよびクロストークを評価した。前述のUVパルス光による試験結果と組み合わせることで、全吸収カロリメータのエネルギー測定精度の向上が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、UVパルス光による較正方法を確立することができ、完成したフライト実機コンポーネントの特性データを取得した。取得データの詳細な評価および観測データ解析ソフトウェアへの取り込みは来年度の課題であるが、本研究の目的である電子・陽電子観測の高感度化のために必要なデータの取得を行うことができ、順調な進展と判断している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は観測装置の環境試験および観測開始が予定されている。本年度取得した較正データの詳細な評価および観測データ解析ソフトウェアの構築、検出器特性の計算機シミュレーションへの取り込みを行い、観測開始後の電子・陽電子イベントデータの解析を速やかに行う予定である。
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