前年度にフライト実機の開発が完了した高エネルギー宇宙線観測装置CALETについて、打ち上げ場における最終試験を実施し、2015年8月には「こうのとり」5号機による打ち上げが行われた。国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟船外実験プラットフォームへの観測装置取り付け後、3か月程度の初期チェックアウトを行い、打ち上げ後も機器の動作に異常のないこと、軌道上における各チャンネルの出力信号のペデスタル、ノイズレベルの変化等について確認した。 現在は定常的な観測運用を実施中であり、非シャワーイベントによる較正用イベントの測定を定期的に行いつつ、高エネルギー宇宙線イベントの収集を続けている。チェックアウト期間も含め、およそ半年間の観測データが得られている。 地上および軌道上で取得した較正用データによる各チャンネルの出力値較正を行い、取得データの初期解析を行った。軌道上観測データから陽子バックグラウンドを除去し、GeV 以上の電子イベントの選別を行った。解析の結果、1TeVを超えるエネルギーを持つ電子候補イベントを数例検出した。
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