研究課題/領域番号 |
24740195
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
横田 紘子 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50608742)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | PLD / 薄膜 / 光第2高調波 |
研究概要 |
本年度は遠視野SHG顕微システムの確立と薄膜堆積装置であるPLDシステムの確立に多くの時間と労力を割いた。特にPLDシステムは既存のエキシマレーザーからYAGの4倍波の固体レーザーへとの切り替えを行った。PLDシステムの立ち上げ後は、歪薄膜の成膜を開始した。近年我々は核混合法と呼ばれる新しい手法を用いて薄膜作製を試みているが、この成膜手法の有効性を確認するためチタン酸鉛PbTiO3を系として選択し、成膜を行った。PbTiO3に関しては理論計算により薄膜化した場合の歪と結晶構造との相関が報告されていることから、歪効果を検証するにあたっては適した系であるといえる。成膜の最適条件を求めることにより、チタン酸ストロンチウムSrTiO3(001)基板上に不純物相などを含有しないc軸配向薄膜の成膜に成功した。膜質は極めて良好で、ラウエ振動が15次まで、AFMによる表面観察では1格子に対応するテラス構造が見える薄膜を得ることができた。 遠視野SHG顕微システムでは薄膜からの光第2高調波を測定するために、反射型顕微システムの確立を行った。これまでは透過システムしか所有していなかったため、片面研磨基板上に堆積させた薄膜試料の測定は難しかったが、反射型を用いることでこの問題点は解消される。一方で、反射型には透過型では見られない特有の問題点が発生することで知られている。このため、対称性の評価を行う際に、フレネル反射などを考慮しなければならない。そこで、薄膜試料にとりかかる前段階として非線形光学結晶として知られているニオブ酸リチウムLiNbO3を用いて、これらの検証を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主力となる薄膜成膜装置(PLD装置)のレーザーを新しく導入したり、SHG光学系の立ち上げなどを行っていたため、予定よりも若干遅れてしまった。 しかしながら、24年度中にこれらの立ち上げが完了したため、来年度以降は順調に研究が進むと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
薄膜成膜装置の立ち上げが完了したので、歪薄膜成膜に本格的に取り掛かる。基板の面方位を変えたものから準備にとりかかる。平成24年度は主にX線回折装置を用いて、室温での構造評価を行うにとどまっていたが、平成25年度からは構造評価を行うとともに、組成分析も精力的に行っていく。強誘電体においては欠陥や化学量論的組成からのずれが構造や物性に大きな影響を及ぼすことが多いため、この点を評価、制御することが非常に重要になってくる。また、誘電率測定やDEヒステリシス測定、圧電測定なども相補的に行っていく。 SHGシステムに関しては単結晶やセラミックスを用いての光学系の検証を行った後、薄膜試料測定に取り掛かる。多重反射の寄与を取り除くなどの工夫をすることで反射システムにおけるSHG解析手法を確立することを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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