本研究は、構造と外部刺激に対する応答特性との相関関係を明確にすることを目的に実験を行ってきた。その中で、本質的には非極性である強弾性体チタン酸カルシウムのドメイン境界において対称性が低下し、極性を持つことを光第2高調波顕微鏡を用いることで明らかにした。この考え方は強弾性体に限らず、反強誘電体などに見られる反位相境界にも応用することが可能であることを示唆している。強弾性体ドメイン境界や反位相境界はその境界壁の幅が磁壁に比較してはるかに薄いことから、高密度・不揮発性メモリーとして非常に魅力的な対象であり、本研究の成果が今後の応用へ向けた研究への足掛かりになったといえる。
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