水素ハイドレート中の水素分子の緩和運動を中性子準弾性散乱手法を用いて調べた。中性子散乱用耐圧セルの設計・開発も行った。180K~210Kの温度領域で10ps程度の緩和時間を有する水素分子の運動を観測することに成功した。緩和の散乱ベクトル依存性を調べたところ、この緩和は局所的な運動であることがわかった。一方、より遅い時間領域(0.1ns~2ns)では、5K~260Kの広い温度範囲において緩和挙動は観測されなかった。現在、10ps~0.1nsの時間領域の緩和挙動を調べる測定を計画しており、これらの一連の研究により、ハイドレート中の水素分子の運動について明らかになると期待される。
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