これまで光は平面波として扱われてきたが、近年、軌道角運動量を持った光に注目が集まっている。本研究ではこの光の軌道角運動量が物質中の素励起にどのような影響を与えるのかを探ってきた。半導体・亜酸化銅中の最低励起の素励起は角運動量が2変化する過程であり、通常の光は1であることからこれを遷移させることが出来ない。これに対し、軌道角運動量に1を持った光は全角運動量2を持つことから励起することが出来ると期待される。軌道角運動量を持ち、素励起に共鳴するエネルギーの光を亜酸化銅に照射したところ、低エネルギー側からの発光が観測され、これまで通常の光では観測できなかった素励起を励起できることが明らかとなった。
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