研究課題
トポロジカル絶縁体およびトポロジカル超伝導体はバルク状態がトポロジカル不変量で特徴付けられ、通常の絶縁体および超伝導体とは質的に異なった状態であり、境界にはギャップレスの励起状態が実現する。本研究課題では、これらの物質を特徴付けるトポロジカル不変量が如何に物理現象として現れるかを、交差相関応答の観点から明らかにする事を目指した。一つの成果は熱応答として系の力学的回転が発生するという、これまで予測されなかった新しい物理現象を予言し、その解析を与えた事である。時間反転対称性が破れた2次元トポロジカル状態では系の温度とともに軌道角運動量が変化する。3次元トポロジカル状態では温度勾配によって軌道角運動量が生じる事を理論的に明らかにした。これらの応答関係式にはトポロジカル不変量が係数として現れる。したがってこれらの効果がトポロジカルに守られた強固な現象であることが示唆される。二つめの成果は、最近トポロジカル超伝導体の候補物質として注目を集めている銅をドープしたビスマスセレンの超伝導状態の表面における熱伝導効果、特に異常量子熱ホール効果の理論的解析を行った。この物質の表面状態ではマヨラナフェルミオンが実現する事が理論的に指摘されている。マヨラナフェルミオンは非可換統計性や量子計算への応用が期待される新奇な準粒子励起である。本研究ではこれらのマヨラナフェルミオンが熱ホール伝導率に寄与し、かつその量子化値がバルクのトポロジカル不変量に相当することを明らかにした。
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