β-YbAlB4はYb化合物として、唯一超伝導を示す重い電子系物質であると同時に、常圧でチューニングを必要とせずに量子臨界状態が現れる特異な物質でもある。更に、本物質は強い価数揺動(常圧で2.75)を持つため、圧力や元素置換と言ったコントロールパラメータを制御することで、量子臨界状態と価数揺動がどのように変化するかに大変興味が持たれている。本研究では、RRR=300を持つ超純良な単結晶試料β-YbAlB4に圧力を加え、その量子臨界状態の変化を追いかける事に成功した。また、β-YbAlB4のAlサイトへのFeによる元素置換効果は、その格子定数を小さくする事ができ、化学的圧力効果として期待できる。今回、主にβ-YbAl1-xFxeB4(x=0から0.06)における高圧低温下での電気抵抗並びに、X線構造解析を行う事で、明らかになった事は以下の通りである。 (1)β-YbAlB4における低温40mKまでの低温高圧電気抵抗測定から、非フェルミ液体が常圧から幅広い圧力範囲で広がっている事が分かった。 (2)1 GPa以上の高圧実験で、非フェルミ液体からフェルミ液体へのクロスオーバーも観測されている。 (3)高圧2.5GPaにて磁気秩序が観測された。 (4) AlサイトへのFeによる元素置換させた化学的圧力効果と、(1)~(3)での高圧実験と同様の結果を示す事が分かった。このため、高圧下での実験結果は、化学的圧力効果でも再現する事も分かった。。更に、Fe置換系において電気抵抗・比熱・磁化・格子定数の実験結果から、高圧下での結果の裏付けを行った。 このように、元素置換効果を電気抵抗・比熱・磁化・格子定数から確認を行う事で、β-YbAlB4は圧力・元素置換による比較を行い、格子定数の減少に伴い非フェルミ液体性から磁気秩序に至るまでの挙動に同様の振舞が観測される事が分かった。そして、本物質の詳細な元素置換・圧力相図の作成に成功した。
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