金属電極に繋がれた絶縁体における電流電圧特性について、非平衡系の理論を用いた研究を行った。まず、有機導体beta-(meso-DMBEDT-TTF)2PF6における実験を念頭に、電荷整列のある絶縁体を考え、電圧印加によってその電荷整列がどのように壊され電流が流れるかを調べた。その結果、電荷整列が残った状態で電流が流れる非平衡系特有の相が現れる可能性を見出した。また、電極のある系での理論解析結果、とくに負性微分抵抗(電圧の増加に伴い電流が減少する振る舞い)の起源を調べるため、より単純化されたモデルに対し厳密な解析を行い、その出現条件を明らかにした。
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