研究課題/領域番号 |
24740248
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
松本 裕司 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究員 (00610304)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | de Haas-van Alphen効果 / 強相関f電子系 / ウラン化合物 / 高圧 |
研究概要 |
まずは、高圧下de Haas-van Alphen(dHvA)効果を測定する試料である、CeRhIn5の単結晶育成を行った。Inの自己フラックス法を用いることで単結晶育成に成功した。さらに、原材料の仕込み量などを工夫することで、単結晶の大型化純良化に成功した。UGe2に関しては、これまでに作成された試料の整形を行いdHvA効果測定ができる状態になっている。 一方、表面インピーダンス法によるdHvA効果測定装置については、プリアンプ、高精度周波数カウンター、ファンクションジェネレーターをそろえた。今後は、まずは室温において表面インピーダンス測定ができることを確認した後、低温においても測定できるようにする予定である。NiCrAl-CuBeインデンター圧力セルに関しては、現在設計に着手している。 また、CeRhIn5で得られた試料作製法を用いてU化合物においてUTIn5(T=遷移金属)系の物質探索を行った。その結果、新物質としてURhIn5を発見することに成功した。URhIn5は、結晶構造が正方晶HoCoGa5型結晶構造a=0.4616nm, c=0.7415nmを持ち、反強磁性転移温度98Kの反強磁性体、抵抗の温度の2乗のA係数が0.013μΩcm/K2で電子比熱係数が50mJ/mole K2と有効質量が通常金属より数十倍増強された重い電子状態であることが明らかになった。さらに、残留抵抗が0.7μΩcmと非常に純良な単結晶が得られたため、通常の磁場変調法によりdHvA効果測定を行い、dHvA振動の観測に成功した。しかしながら試料の体積が小さいため十分なdHvA信号が得られなかった。今後は試料の体積に依存しない表面インピーダンス法かトルク法によりdHvA効果測定を行いURhIn5の電子状態を明らかにする予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
dHvA効果を測定するCeRhIn5とUGe2の試料育成に関しては、純良な単結晶が得られた。そのため試料育成に関してはすでに完了していると考えられる。一方、表面インピーダンス法については装置はそろっていて、今後測定装置を組み上げるつもりなのでおおむね順調に進展している。NiCrAl-CuBeインデンター圧力セルの開発に関しても、設計はおおむね終了しているので順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
まずは、表面インピーダンス測定を確立するために室温において測定できるようにセットアップを行う。その後、低温測定用クライオスタットを改良することで低温においても測定できるようにして、常圧下でdHvA信号が観測できる測定システムであることを確かめる。圧力セルに関しては、圧力セルを作成して圧力を発生できることを確かめる。その後圧力下において、表面インピーダンス測定ができることを確かめた後、クライオスタットに取り付けて圧力下dHvA効果測定を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
圧力セル、電子部品、周波数カウンターを購入する。また、日本物理学会、国際会議に参加するための旅費が必要になる。
|