砂丘は風と砂で形成され、現地で利用可能な砂量と1年間で卓越する風向の複雑性などの環境条件によって多様な形態(三日月型、横列、縦列、星型、涙型など)をとる。これらの形態は環境条件によって変化するため、その形態から逆に環境条件を読み取ることができる。砂丘は砂漠だけでなく海岸などでも観測され、その一部には植生が存在する地域もある。この植生の生育条件や植生分布によって砂の動きは影響を受け、そのことが砂丘の形状に大きな影響を与える。この現象を調べるために砂丘地形変化と植生成長を数理模型で記述し計算機シミュレーションを用いて調べた。シミュレーショでは砂の動きを表す為にsaltation(飛砂)とavalanche(なだれ)を考慮し、植生には植物の成長と枯死及び植生によるsaltationの抑制効果を考慮した。また、初期条件として海岸線を模した一様な砂の供給状態をとった。シミュレーションの結果、砂の供給量が少ない場合にはparabolic dune(放物線型砂丘)とよばれる風下側に角を向けた特徴的な砂丘が出現した。また、砂量を増やしていくと植生とないときと同様に横列砂丘が発達してきた。さらに、砂量を増やした時には大きな分断された砂丘群がところどころに出現した。出現した砂丘群はお互いに相互作用することが少なく、それぞれが孤立した状態で移動していた。これらは植生の成長によるsaltationの抑制効果によることが推測される。また、特殊な初期条件として孤立した砂丘を準備し、その形態変化の時間発展を調べたところ風と垂直方向に大きく伸びていくことがわかった。
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