研究課題
茨城県東海村J-PARCミュオン施設において、1気圧以下の低圧の気体試料条件においてCO、CO2、COS、H2+CO2に対してミュオン照射を行った結果について詳細な解析、検討を行った。CO、CO2、COS試料より得られた、ミュオン特性X線スペクトルを解析する事で、ミュオンがC原子もしくはO原子に捕獲される確率および捕獲された初期の準位について、計算シミュレーションとあわせて決定することができた。本研究より、予想しないことにこれらの3分子間でO原子への捕獲現象は互いに似通っているということがわかった。一方でC原子については、COと他の2原子との間で大きな違いが得られた。これらの違いについての解釈として、C原子の非共有電子の存在が大きく寄与しているという仮説を立て、C原子への非共有電子の影響を定量的に見積もった。この成果は、ミュオンを捕獲する原子の電子状態と、ミュオンの捕獲初期状態について定量的に対応を議論した初めての成果である。同様にCO2とH2+CO2試料から得られたミュオン特性X線スペクトルについても詳細な検討を加えた。特にH2+CO2試料では統計が悪いものの、CO2試料の場合とC原子とO原子への捕獲確率や、それぞれの原子に捕獲されたときのミュオンの初期状態について、大きな違いが見られ、これはミュオン原子の形成過程が転移現象を経て起こっているということを明確に示しているデータが得られた。これらの研究成果についてまとめ、今年度関連の学会発表を6件(うち国際学会3件、国内で1件招待)行い、また3件の原著論文を投稿した。
すべて 2013
すべて 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)