本研究ではインフラサウンドの検出や重力観測のデータ補正などに用いるための微気圧計の開発を目的としている。特に、これらの応用では微気圧計を稠密に多点展開してネットワーク観測を行うことが重要と考えられているが、それに適した、運用が容易で低コストなセンサーは市販されていないため、開発が望まれる。本研究では、それらの要件を満たすために大気圧変動によって変形する参照ベローズの内部に光ファイバセンサーを組み込み、変形量を非接触検出するという方式を考案して、実際に微気圧計を試作して観測を行うことを計画した。 本研究を進める課程で、当初計画していた溶接ベローズでは気圧変動による伸び縮みをする来、変形変更によってヒステリシスを生じる問題が発生することが判明した。この問題を回避するためには溶接を用いない形成ベローズを利用すれば良いが、光ファイバセンサーを組み込める大きさの変形ベローズは非常に高価であるため入手できず、また、低コストのセンサーを開発するという研究目的にもそぐわないため、小型の成型ベローズの変形を計測する方式に設計変更を行った。ベローズが小型であるため、内部に光ファイバセンサーを組み込むことはできないが、全体の構成を見直すことによって、当初目的とした気圧計の性能を実現できる見通しを得た。 設計変更による研究期間の延長を経て、データ処理用の計算機やフィルタなども整備して試作機による観測システムの構築を行った。研究期間内に本格的な観測を行うには至らなかったが、研究期間後も継続して試作機による観測と評価を行う予定である。
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