過去約10年間に日本列島で発生したマグニチュード約6.5以上の本震に対して、気象庁一元化震源情報を用いた波形相関処理によるパターン検索を適用することで、本震前の地震活動をより正確に捉えることに成功した。その結果、一部の本震の発生前に、本震の近傍でゆっくり地震(滑り)が起きていたことを示唆する事例を複数見出した。これらの活動の中には、震源の移動や低いb値(マグニチュードに対する地震の累積個数の変化を記述するパラメータ)という特徴が見られたものもある。これらの前震活動には、活発なものから極めて低調なものまで幅広い多様性が見られ、本震発生前に生じるゆっくり地震は複雑な様相を呈する。
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