研究概要 |
神戸大学に設置されている垂直打ちの軽ガス銃を改良しつつ,弾丸の加速ガスがエジェクタに影響を与えにくいチャンバーの構造を模索した.以下の2種類の方法を試した. 1,ガス避けのフィンを制作し,銃身の先に設置した.チェンバー内大気圧を0.005~1気圧,衝突速度4~220m/s,に制御し, 50, 100, 500ミクロンのガラスビーズ標的へ衝突実験を行った.形成された様々なエジェクタ地形のうち,顕著な同心円リッジに着目し形成条件を求めた.同心円リッジは加速ガスを使わないスリングショットを用いた衝突でも観察された.高速度カメラでの観察や複数の予備実験や追加計測により,この同心円リッジは,弾丸が大気中を進行するときに発生する伴流が,クレーターのリムを崩すことでできる可能性が高いことを示した. 2,加速ガスを実験チャンバー内に逃がすサボストッパーを設計・制作した.その結果,弾丸直後にやってくる加速ガスは完全に排除できたが,サボストッパーを回り込んだ加速ガスが標的に到達してしまった.実験チャンバーとガス貯蔵チャンバーを完全に別にする必要があることがわかり,そのような衝突チャンバーを設計し一部を制作した. 加えて,揮発性を持つターゲットへの衝突の準備段階として,雪標的への衝突実験を行い,エジェクタ粒子の放出速度を計測した.規格化放出速度は,規格化放出位置のベキ乗で表されることが知られており[Housen and Schmidt, 1983],雪エジェクタにおけるこの係数とベキの値を決定した.また,クレーターの端付近ではこのベキ乗則から外れるが,外れる点での臨界放出速度が,標的強度の1/2乗に比例することを示した.
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