研究実績の概要 |
前年度までに自らが開発した縦型一段式軽ガス銃においては,発射時に円柱弾丸が回転してしまうという問題点があった。これを解決するため,直径8mmで長さを変えた(7,8,9,10,12,16mm)円柱弾丸を試作し,試射を行った。円柱弾丸の材質は高密度ポリエチレンとし,宇宙科学研究所の工作工場にて自ら試作した。試射の結果,チャンバーの真空度200~400Pa,加速ガス(窒素)の初期圧0.5MPaの条件で,円柱弾丸の長さが8mm以上であれば,回転せずに飛翔することがわかった。弾丸は軽いほど衝突速度が稼げるので,長さ8mmを採用した。 次に,円柱弾丸を用いて,雪標的に対する衝突クレーター形成実験を行った。実験は,神戸大学理学研究科惑星学専攻の荒川研究室所有の低温実験室にて,-15℃の環境下で行った。円柱弾丸は(有)エスバックへ製作を依頼した。雪標的の準備は以下のような手順で行った;まず,氷をバンドソーとブレンダーを用いて細かく砕き,ふるって710ミクロン以下の粒子のみにした。次にそれを袋詰めしたものを低温室内で3日間寝かせた。この行程は,より小さい粒子を昇華させることで,焼結度を制御しやすくするためである。この雪を金属容器(直径14cm,深さ13cm)に詰め,詰めてから5分,18分,75分経った標的へ衝突クレーター形成実験を行った。加速ガスは窒素で0.8MPaとした。できた衝突クレーターは,ピットとスポールを持つ,典型的な強度支配域クレーターとなった。現在,詳細な解析を行っている最中である。
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