研究課題
本研究では、隕石衝突に伴う惑星サイズの成長を考慮した3次元ストークス流れのコア形成シミュレーションを実施し、惑星衝突による溶融・分化過程により中心核形成において、地球深部に初期惑星起源の不均質層が持ち込まれる可能性を示した。しかしながら、これまでシミュレーションの初期条件となる火星サイズの惑星の内部構造に対する調査研究が不十分であり、初期惑星がコアを形成していた場合を考慮していなかった。そこで平成26年度は、シミュレーションの結果得られる不均質層が、初期惑星の上層部に起因することを示し、初期惑星がコアを形成していたとしても作業仮説が定性的に大きく変化しないことを示した。また平成25年度には熱対流を伴う計算に取り掛かったが、自由表面にかかわる数値振動と、その解決に必要な計算コストの増加が大きな問題となった。そこで平成25年度から移流陰解法の開発に着手した。平成26年度は、移流陰解法のメインとなる大規模非線形ソルバーの改善、さらに移流陰解法の時間積分の精度改善を行った。具体的には、Jacobian free Newton Krylov(JFNK)法とPicard法による前処理を適切に切り替える事で収束性を改善し、これまでの時間積分法として2次精度かつL-stableなTR-BDF2法を導入した。また移流陰解法をmarker in cell (MIC)法に適応させるために、非線形ソルバー内の残差評価に一次的にオイラー法を使用する半陰解法を開発し、計算コストを削減する事を提案した。そして、いくつかの数値実験を通して計算コスト・精度の評価を行うことで、開発したMICを用いたストークス流れの移流陰解法の効果を検証した。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
Computer Physics Communications
巻: 192 ページ: 1 -11
DOI:10.1016/j.cpc.2015.02.011
Geochemistry, Geophysics, Geosystems
巻: 15 ページ: 2865 - 2882
DOI: 10.1002/2014GC005281