研究課題
東北地方太平洋沖地震の最大余震について、MeSO-netのデータを使用して震源過程解析を行った。この地震は観測網までの距離が近く震源メカニズムによる振幅変化の影響が無視できないため、断層モデルを仮定してスタッキングの際に振幅補正を行うことで、地震エネルギーの発生位置(アスペリティ)を指定した。その結果、解析に用いた周波数帯では、断層破壊は主として北西方向に向かって進行したこと、南もしくは南東方向にはあまり広がらず、フィリピン海プレートと太平洋プレートとの接触している付近で停止したことなどが明らかになった。本震のインバージョンの震源モデルを基に差分法で計算した地震波形を用い、バックプロジェクション法によって震源過程が再現できるかのチェックを行った。結果としては、差分法に用いている3次元速度構造モデルでのS波の走時計算を解析に組み込めなかったため、再現性は必ずしも良くなかった。また、より密度の高い観測網、短周期地震波を用いて、M5クラスの地震についての震源過程解析も行った。インバージョンでは速度構造モデルの精度などから解析できる周波数帯が制限されることから、中規模地震の震源過程解析はあまり例がない。本研究では、M5.0とM4.9の地震について解析を行い、継続時間が1秒程度の断層破壊についても、明瞭なイメージを得ることができた。
3: やや遅れている
インバージョンを基にした地震波形をもちいた再現実験を行う上で、理論走時を計算するコードの改善が必要となり、時間を取られている。しかし、中規模地震を用いた解析では、インバージョン結果ではないものの、過去の解析結果と整合的な結果が得られている。
今後は、引き続きインバージョン結果との比較を行うとともに、複数のアレイを用いた解析法など、より精度よく震源過程を再現するための手法改善を進めていく。
日程の都合がつかず国際学会への出席ができなかったため、旅費を使用しなかった分の差額が生じた。最終年度に改めて学会発表を行う予定である。
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Earth, Planets and Space
巻: 65 ページ: 917-921
10.5047/eps.2013.01.003