研究課題
本研究では、(1)観測システム実験により、熱帯係留ブイやアルゴフロートなど、観測プラットフォーム毎のインパクトを評価すること、(2)ブリーディング法により誤差成長が早い海域を抽出し、その海域の観測インパクトを評価すること、(3)国際会議等に出席し、国内外の研究成果を集約すること、の3点を実施し、今後の海洋観測システムの維持や効率的な配置に資することを目標としていた。実際の実施では、2012年の夏から、米国政府の予算削減により、熱帯係留ブイの観測データ配信率が40%以下に落ち込むという問題が発生したのを受け、本研究で開発していた観測システム実験の手法を用いて、熱帯太平洋域の係留ブイ、及び、アルゴフロートデータのデータ同化プロダクト、及び、季節予報システムに対するインパクトを行った。上記の実験から、熱帯係留ブイデータとアルゴデータの両方が、相補的なインパクトを持つことが確認された。また、太平洋赤道域の東部については、フロートの数を増やすことが有効であるのに対し、西部では、熱帯係留ブイの効果が比較的大きく、水温に対してはアルゴデータと同程度であることが示された。さらに、熱帯太平洋東部の西経130度付近の温度躍層、同西部の表層・亜表層、中央部の東経170度付近(特に海面付近)、北西部のコスタリカドーム付近等で、観測データのインパクトが大きいことが示された。これらの海域は、海洋変動のもつ潜在的な不確定性が大きいと考えられ、観測インパクトと海洋の不確定性との関係性が強く示唆された。また、本研究の一環として、熱帯太平洋係留ブイの観測データ取得率の低下を受けて、2014年1月に開催された、今後の熱帯太平洋の観測システムの概要を策定するするためのワークショップにおいて、観測データのインパクト評価に関する国内外の研究成果に関するレビューを発表し、報告書としてまとめた。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件)
Quarterly Journal of the Royal Meteorological Society
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10.1002/qj.2579
Journal of Operational Oceanography
10.1080/1755876X.2015.1014640.
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GCOS Report
巻: 184 ページ: 102-129
巻: 184 ページ: 64-101