昨年度までに作成したアジア域におけるオゾンや一酸化炭素など大気微量成分のシミュレーションデータに加えて、オゾンの再解析データや航空機観測データなどを用いて、アジアモンスーン循環内(特に南アジア域)で生じる積乱雲にともなう物質の鉛直輸送特性を詳細に解析した。また、アジアモンスーン循環の季節変動やエルニーニョ/ラニーニャを主要因とする年々変動によって引き起こされる大気微量成分の変動過程を解析した。これらの解析から得られた研究成果を学術論文としてまとめ、アメリカ地球物理学連合学会誌に論文として掲載された。 また、同様のデータを用いて対流圏と成層圏における全球的な物質輸送過程を、特に低緯度域における対流圏-成層圏物質輸送過程に注目して解析を進めた。特に、2006年~2010年の期間における子午面物質輸送過程の年々変動を解析し、アジアモンスーン循環の年々変動がこの子午面物質輸送過程の年々変動に大きな影響を及ぼしていることを明らかにした。
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