研究概要 |
平成24年度に構築した大気微量成分に関する再解析システムと、NASA, ESA, KNMIが提供するOMI, TES, MLS, MOPITTによる最新の衛星観測リトリーバルを用いて、対流圏における大気微量成分の過去8年間の再解析計算を実施した。再解析データの品質は、データ同化に利用していない各種独立観測データを用いて検証した。独立観測データには、SCIAMACHYやGOME-2などの衛星観測に加えて、NASAおよびIAGOSが提供する航空機観測キャンペーン、WDCGGによる地上観測、WOUDCおよびSHADOZによるゾンデ観測による情報を利用し、対流圏鉛直積算濃度のみならず鉛直プロファイルや地表濃度の地理分布についても詳細を検証した。本再解析では対流圏化学に含まれる多くの化学種を解析対象としているが、その中でもO3, NO2, HNO3, CO, CH2Oに着目し、再解析における全球分布の季節・経年変動を調査した。さらに、衛星観測データの信頼性やアンサンブル計算から見積もられるモデルの信頼性などに基づき、データ同化時に取得される各種統計情報を調査することで、再解析品質の特徴と長期安定性を明らかにした。また、データ同化を行っていないモデル計算結果についても同8年間について同様の検証を行い、データ同化の有無による再現性の違いを明らかにした。これらの情報は、再解析品質の向上のみならず、モデル改良に向けた提言を与える有用な情報となることが期待できる。
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