研究課題
本研究では、磁力線共鳴振動の1/4波長モード波を詳細観測することを目的に、新しい地磁気観測網をニュージーランド地域に展開し、そのデータ解析を行った。1/4波長モード波とは、磁力線の両端の電離圏環境が極端に非対称なときに励起される磁力線共鳴振動の1モードである。境界条件の非対称を反映して波形は大きくゆがみ、磁力線上に波長の1/4だけが乗った形となる。約30年前に存在が予言されながらほとんど観測例がなかったが、我々の先行研究により、地磁気の多点観測データを使って安定的に検出・解析する道が開かれた。本研究ではニュージーランド北島のTe Wharauに新しく地磁気観測点を設け、既存の観測点と合わせて1/4波長モード波の詳細解析に適した配置の観測網を構築し、次の成果を挙げた。1/4波長モード波の周波数、共鳴領域の幅、減衰率を観測から明らかにした。また、1/4波長モード波が、電離圏環境の非対称が解消されるに連れて、1/2波長モード波に遷移する様子を連続的に捉えた。モード遷移は昼夜境界線が観測点の上空を通過するタイミングで始まり、電離圏電気伝導度の南北半球間の比が約5になるころ終了した。磁気圏モデルを使って計算したところ、1/2波長モードの計算では磁力線共鳴振動の特性が良く再現できたのに対し、1/4波長モードの計算では当初磁力線共鳴振動の特性が再現されず、アルヴェン速度のプロファイルを調整してプラズマ圏空洞共鳴の効果を抑制したところ、1/4波長モードの磁力線共鳴が再現された。この結果は空洞共鳴によって振幅の大きなファストモードプラズマ波動が発生するとき、1/4波長モード波が隠されてしまうことを暗示しており、1/4波長モード波の発生条件を特定する上で重要な示唆を与えるものである。
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10.1002/2015JA021096
http://www1.osakac.ac.jp/crux/