研究課題/領域番号 |
24740334
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
中野 慎也 統計数理研究所, モデリング研究系, 助教 (40378576)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
平成24年度は,リングカレント―プラズマ圏統合モデルの基礎となるリングカレントモデル,プラズマ圏モデルや,統合モデルに対してデータ同化を行う際に用いるデータの処理・解析プログラムなどのプログラム群の整備を主として進めた.特に,プラズマ圏構造を推定するために用いるIMAGE衛星の極端紫外光データの処理については,データの次元の大きさやノイズの大きさなどのため,これまでかなり時間がかかっていた部分であったが,パラメータ最適化等の部分に関して並列化された計算ライブラリが機能するよう改良し,顕著な高速化を実現した.また,プラズマ圏モデルについても,パラメータ設定方法などを見直し,今後のデータ同化システムの開発が容易となるよう改良を加えた. 平成24年度は,当初計画では「リングカレント―プラズマ圏統合モデル」を完成させることを目指していたが,統合モデルへのデータ同化を行うために,効率的な計算アルゴリズムを開発しておくことが有用と考え,データ同化アルゴリズムの開発の方を優先的に進めた.本研究で用いるIMAGE衛星の撮像データには,各ピクセルの値に大きなノイズが重畳している.そうしたノイズは,従来のデータ同化手法が想定している正規分布的なノイズではなく,ポアソン分布的なノイズであるため,従来手法を適用した場合に推定にバイアスが生じる可能性がある.そこで,正規分布に従わないノイズも扱うことができるモンテカルロ法に基づいた方法を併用することで,バイアスの小さい良好な推定を得られる手法を開発した.この手法は,まだ実際の推定には用いていないが,次年度以降,実際のデータ同化による推定に活用していきたいと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画で目指していた,リングカレントモデルとプラズマ圏モデルとの「統合モデル」については,平成24年度中に完成させることができなかった.しかし,本研究で用いるプログラム群の整備を進め,特に,プラズマ圏構造を推定するために用いるIMAGE衛星の極端紫外光データについては,高次元かつ大量のデータを従来と比較してきわめて高速に処理できるようになった.また,今後のデータ同化手法の実装がしやすいよう,プラズマ圏モデルのプログラムにも改良を加えた.一方,本研究のデータ同化において必要となる計算アルゴリズムの開発を進め,IMAGE衛星の撮像データをリングカレント-プラズマ圏統合モデルへ同化する際に問題となる観測ノイズのポアソン性に対処できる可能性を見出すことができた.このように今後の研究を効率的に進めていく上で必要な環境を整備することができ,計画全体に対する達成度として考えれば,概ね順調に進んでいると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,平成24年度に完成させることができなかったリングカレントモデルとプラズマ圏モデルとの「統合モデル」の開発を行う.開発に当たっては,リングカレントとプラズマ圏の両方のダイナミクスに寄与するパラメータとして内部磁気圏電場に着目し,共通の内部磁気圏電場のもとでリングカレントイオンとプラズマ圏イオンの両方の動きを計算できるようにモデルを構築する. これと並行して,リングカレント-プラズマ圏統合モデルにIMAGE衛星の高速中性粒子データと極端紫外光データを同化するためのアンサンブル変換カルマンフィルタの実装を進める.プラズマ圏イオンに加えて,様々なエネルギー,ピッチ角を持つリングカレントイオンの分布を推定するため,推定すべき変数の数は膨大である.この膨大な数の変数を推定するため,効率的に並列分散処理が行えるよう,プログラムを構築する. また,本研究で用いる高速中性粒子データ,極端紫外光データのノイズの扱いに関しては,改善の余地があるため,推定結果がノイズに影響されないようパラメータのチューニングを行い,また,平成24年度に開発した手法も組み合わせながら対処する.
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次年度の研究費の使用計画 |
データ同化のプログラム開発には多大な計算機資源が必要であり,効率的に開発を進めるには並列計算機の利用が必須となる.本研究では,基本的に統計数理研究所の共用計算機上で開発を進めているが,共用の計算機だけでは他ユーザとの競合などがあって効率的に開発を進めることが難しい.そこで,マルチコアCPUを搭載したワークステーションを本研究専用に購入し,効率的にプログラム開発ができるようにする. また,研究成果の国際会議での発表を数件予定している他,論文の投稿も予定しており,これらの研究成果発表のために研究費を使用する予定である.
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