リングカレント-プラズマ圏統合モデルへのデータ同化システムの実質的な開発作業を行った.開発を円滑に進めるため,ある条件の下で,実際のIMAGE衛星の高速中性粒子,極端紫外光観測データを模した人工データを生成し,この人工データを用いてデータ同化システムの動作を確認しながら,作業を進めた. データ同化システムの開発は,2段階に分けて行った.まず第1段階では,様々な条件・シナリオの下でリングカレント-プラズマ圏統合モデルを実行し,sequential importance samplingと呼ばれる方法で,尤度の観点から高速中性粒子,極端紫外光観測データとよく適合するシナリオを選び出す操作を行い,これによって,IMAGE衛星の高速中性粒子,極端紫外光観測データが,リングカレント-プラズマ圏統合モデルに含まれている電場に関する未知変数を推定するのに有効であることを確認した.次に第2段階として,アンサンブル変換カルマンフィルタと呼ばれるデータ同化手法を用いて,IMAGE衛星の高速中性粒子,極端紫外光観測データをリングカレント-プラズマ圏統合モデルに同化するシステムを開発した.また,人工データを用いて,開発したシステムがリングカレントイオン,プラズマ圏プラズマやその運動を支配する電場の空間分布に関して,妥当な推定が得られることを確認した.
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