研究課題
本研究では、これまで開発してきた大気圏-電離圏統合モデルを高精度化し、現実に観測されるSED、MSTID、LSWSなど数100kmスケール電離圏現象の再現を目指すものである。本年度は以下の開発項目を実施した。(1)-iii. 「高高度領域のダイナミクスの導入」: 前年度に引き続き、大気圏-電離圏統合モデルについて数値的な取扱いの改良を実施した。具体的には、これまで鉛直1次元でしか考慮していなかった電子温度の方程式について、磁力線に沿った3次元の拡散を解けるようにモデルを改良した。数値解法上は、差分式を陰解法で解く必要があり、現実的な時間で計算できるよう並列分散化するなど工夫を施した。本改良により、F層の電子温度だけでなく密度分布についても、シミュレーション結果と(観測に基づく)国際標準電離圏モデルとのずれが小さくなった。本成果については2016年5月に開催の日本地球惑星連合大会にて発表する予定である。(3) 「数100kmスケール現象(SED、MSTID、LSWS)の再現と解析」: ここ数年の電離圏観測では局所的な擾乱源から数100kmスケールで同心円状に広がる電離圏擾乱が観測されており、中規模電離圏擾乱(MSTID)の研究が進展しつつある。本研究では大気圏-電離圏統合モデルの検証を行いつつ、数値解法上の改良と高分解能化を行ってきたが、それらを統合して計算結果を見たところ、同じ規模の同心円状の擾乱の広がりが再現されていることが分った。未だ解析は初期段階であり、詳細な解析や論文への投稿など今後行う予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 7件、 招待講演 1件)
J. Geophys. Res. Space Physics
巻: 120 ページ: 10,897-10,912
10.1002/2015JA021894
巻: 120 ページ: 8810-8816
10.1002/2015JA021799-T