研究概要 |
宇宙プラズマの第一原理シミュレーション研究手法の一つとして提案されているブラソフシミュレーションは、特に大規模計算における有用性が認識されているものの、高度な数値的技術が要求されることから、その開発研究は未熟である。そこで本研究計画では、ブラソフシミュレーションのための新たな計算手法であるマルチモーメント移流法を開発している。本手法は、物理量とその2次までのモーメントを合わせて更新することにより、ブラソフシミュレーションに必要不可欠な移流・回転問題を長時間極めて高精度に解く手法である。 これまでの研究で、1次元・2次元コードの開発を完了したので、平成24年度はまず、3次元スキームの開発を行い、テスト計算から良好な結果が得られたので、実空間1次元+速度空間3次元のブラソフシミュレーションに適用した。プラズマ線形波動の伝播問題や非線形波動の不安定性を解き、期待通りの性能が得られた。以上の結果をJournal of Computational Physics誌において発表した(Minoshima et al. 2013, 236, 81)。 さらに、これまで開発してきたマルチモーメント移流法をより扱いやすい形式にするために、新たに有限体積型マルチモーメント移流法を3次元まで開発した。テスト計算から、新手法は従来の手法と同程度の性能を保ちながら、安定性の大幅な向上と、シミュレーションコードの平易化に成功した。現在は新手法を実空間2次元+速度空間3次元のブラソフシミュレーションに適用し、性能評価を行なっている。これまでの所、期待通りの良好な結果が得られている。
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