研究課題
東北沖地震では、従来非地震性領域と考えられていた海溝先端まで破壊すべりが伝播し、巨大津波を引き起こしたと考えられている。このような海溝浅部における断層運動の実態解明を目的として、プレート境界断層を含む掘削試料と日本海溝アウターライズで採取された掘削試料の鉱物分析を行った。これらの試料にはオパールや火山ガラスなどの非晶質成分が多く含まれるため、方解石を内標準とする検量線を作成し、試料の定量XRD分析を行った。分析の結果、周辺の岩石に比べてプレート境界断層には非晶質成分が少なく、一方スメクタイトが高い濃度で確認された(60~80%)。このようなスメクタイト濃集層は、沈み込む直前の堆積物中にも確認することができた。スメクタイトは、摩擦強度が小さく、高速すべり時には効果的に断層強度を低下させることが知られている。したがって、日本海溝におけるプレート境界断層の発達過程や地震発生時の浅部断層すべりは、上記の鉱物学的特徴に強く影響を受けているものと考えられる。遠洋性スメクタイトは、プレートの沈む込みに伴い深部ではより高温で安定なイライトへと相変化していると予想される。日本海溝の温度構造と反応速度論にもとづいて、沈み込み帯内部におけるイライト化反応をモデル化してみると、海溝軸から~50kmまではほとんど反応がすすまず、それより陸側で急激に反応が進むと予想される。このことは、地震発生時における海溝浅部のすべり挙動が、プレート境界の広い領域に存在するスメクタイトに大きく支配されていたことを示唆する。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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