研究課題
大型放射光施設SPring8および高エネルギー研において、ペルム紀ー三畳紀境界層の試料のモリブデンと鉄のX線吸収微細構造を測定し、酸化鉄の全くない還元的な堆積物内条件のなかで大量絶滅期の層準に4価に還元したモリブデンが増加していることが判明した。この結果は論文原稿を準備し、投稿間近である。アメリカアリゾナ州立大学のAriel Anbar教授の協力を得て、ペルム紀ー三畳紀境界層のウランとモリブデン安定同位体比(238U/ 235U,98Mo/95Mo)の連続記録を示すことに成功した。その結果は、ペルム紀末の大量絶滅層準の前後で軽い値から重い値に大きく変動し、こららの値変動は、還元的な海洋底環境を背景に全世界の海水からモリブデンが減少していた証拠として、論文執筆に取り組んでいる。岐阜県で採取した前期ー中期三畳紀境界層の連続的元素組成の分析を行い、前期三畳紀末の黒色チャート層の堆積環境は準無酸素(海水1L中に酸素が0.2mL程度)であったことが明らかになった。成果は国際誌Paleo-3誌に公表した。ニュージーランド北島において採取した赤色チャートからなる地層セクションのサンプルの有機物の安定炭素同位体比を測定し、日本で確立した前期ー中期三畳紀の傾向に対応する変動傾向を得た。このことは、前期三畳紀末等に発達した酸素に乏しい堆積環境が低緯度海域に留まっていたことを指示する。
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Palaeogeography Palaeoclimatology Palaeoecology
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