ペルム紀末に起きた地球史上最大の大量絶滅とその回復期における海洋環境の復元を、日本に残る当時の低緯度遠洋域の地質とニュージーランドの中緯度遠洋域を記録した地質を対象に行った。低緯度域では、ペルム紀末に硫化水素に富む海洋環境が発達した証拠が得られ、回復期である前期三畳紀後期に完全な無酸素ではないが比較的酸素に乏しい海水環境が繰り返し発達していたことが判明した。一方、中緯度域では、ペルム紀末には低緯度同様に硫化水素環境が一時的に発達した可能性は示されたが、前期三畳紀の低緯度域と同時期には酸素に乏しい環境は発達せず、むしろ酸素に富んでいた可能性を示すことが明らかになった。
|