最終年度は,交付申請書に記載した平成26年度中に実施する予定の「デタッチメント断層の発達過程を明らかにし,岩石ー粒大半の宇治における流体の特徴とその際の岩石ー流体反応式を決定し,物質移動量を定量的に見積もる(平成26年度前半)」ことと「デタッチメント断層周辺の流体の影響と範囲について考察する(平成26年度後半)」ため,3つの試料採取地点から得られた地球化学データの処理を行いながら,国内外の協同研究者と議論し,国際学術誌へ論文を執筆を続けてきた.1つの試料採取地点から得られた特徴をまとめた論文を国際学術誌に投稿することができたが却下され,現在,論文原稿を修正中である. ゴジラメガムリオン上の3つの試料採取地点から得られた地球化学データは,同じ傾向を示さないことが判明した.このことは試料採取地点ごとで流体の種類が異なることを示唆する.3つの試料採取地点はゴジラメガムリオンの形成初期・中期・後期の発達過程にそれぞれ対応していることから,ゴジラメガムリオンの形成過程において,流体の流入過程に差があったと考えられる. 地点ごとの特徴をまとめるとゴジラメガムリオンの形成初期において,後退変成反応に伴う流体付加の傾向が多く見られる.形成中期においては,後退変成反応に伴う流体のほかに,マグマ由来の流体と軽希土類に富む流体が流入していたことがわかった.ゴジラメガムリオンの形成後期においてはほとんどがマグマに由来する流体が流入していたことが明らかになった.
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