南中国と北中国に分布するカンブリア系礁の「構築様式」や「変遷様式」を検討した.南中国では,カンブリア紀第二世最後期の間に,「古杯類を産する礁」から「微生物類のみの礁」への大きな転換が生じた.その転換は,カンブリア紀第二世末に生じた海退事変や後生動物の多様性の低下,礁自体の減少と関係している.一方,北中国では,「イシ海綿-微生物類礁」が,カンブリア系第三統から産出する.本礁は,オルドビス紀前期に世界的に大繁栄した「イシ海綿-微生物類礁」の先駆的存在である.イシ海綿を産する礁は,従来考えられていたよりもより早期 (カンブリア紀第三世-芙蓉世) に,既に繁栄を遂げていたことが明らかになった.
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