研究課題
本研究は大きく分けて、(1)胚の発生過程に関する作業と、(2)現生および化石標本のデータ収集の2つからなる。まず(1)については、米The Field Museumにおいて、ワニ胚の透明標本を用いてその骨化シークエンスを観察した。また、ニワトリ有精卵を孵化直前まで孵卵しながらサンプルを定期的に固定することにより、発生ステージを追った標本を数回にわたり作成した。また、骨化が始まってから孵化直前までの個体について、μCTスキャン撮影を行うことにより、その骨化シーエンスに関するデータを得た。大まかなシークエンスに関してはこれまで報告されている鳥類のものと整合的であった。より詳細なシークエンスについては解析を続行中である。また,脳形態の発生パターンを解析するための脳エンドキャストについても作成途中である。さらにもう一つの研究目的である骨格の透明標本についても作成作業を開始、現在継続中である。(2)については、まずワニ類の解剖を行い、その筋肉形態についてのデータを得た。また、北米および南米の博物館において、化石主竜類の脳函および頸椎の観察を行った。特に、アルゼンチンの3カ所の博物館において、後期三畳紀、中期ジュラ紀、後期白亜紀の恐竜を中心とする化石主竜類について形態学的データを収集した。特に後期三畳紀の分類群については、主竜類の原始的形質や形質進化の極性を決定するのに重要でありながら、詳細な記載が未だにされていないものが多い。そのため本研究ではそれらの標本を直接観察することで、いままだ不明であった詳細なデータを得ることができた。これらの形質データについては、その進化過程を解析するためのデータマトリクスを作成途中である。また、これらの化石標本の観察データを利用して、モンゴル上部白亜系産の脳函を含む新種の獣脚類標本について命名及び記載し、国際紙に発表した。
すべて 2014
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Naturwissenschaften
巻: Vol.101, No.2 ページ: 131-14
10.1007/s00114-014-1143-9